リハビリ職の学会発表の方法【7つの手順で解説します】

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学会発表をしてみたいけど、何からやれば良いか分からないですよね。

私はこれまで県内学会、地方学会、全国学会などで計10回以上の発表を経験してきました。

自分の職場には、既に学会発表をよくしている上司が居たので、その方からご指導いただきました。

ただ、忙しい日常の中で、上司の時間を借りるのもなかなか心苦しいものです。

そんな「まだ学会発表をした事がない」「まだ1~2回しかやったことがない」というリハビリスタッフ向けに、7つの手順で“学会発表のやり方”をご紹介したいと思います。

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リハビリ職の学会発表の7つの手順

リハビリ職の学会発表について、7つの手順で紹介します。

「学会発表してみたいなー」と考えている方は、まずはこの記事を読んで、大まかな流れを知ってみてください。

手順を読んで大まかな流れを知ってから、職場の先輩や上司、または他の職種の経験者などに相談してみましょう。

それではいきます。

手順1.研究発表なのか症例発表なのか決める

学会発表するための手順1つ目は「研究発表なのか症例報告なのかを決める」ことです。

研究発表とは、2群の比較や、同じ群の治療前後の比較などを報告するものです。

・認知症のある群とない群でのリハビリ進行の違いについての検討
・大腿骨頸部骨折に対する、人工骨頭術後とマルチプルピンニング術後の経過の違いついて検討
・Berg Balnce Scale(ベルグバランススケール)のカットオフ値を下回る症例は入院中に転倒しやすいのかの調査した

上記のような形が、研究発表です。

次に、症例発表とは、興味深い症例や難渋症例についてを報告するものです。

・重症心筋梗塞後にEF10%となったが、ADL自立にて社会復帰に至った症例
・入院時NIHSS8点から自宅退院に至った症例
・大腿骨頸部骨折骨折に対する人工骨頭置換術後に独歩が再獲得できた90歳の症例

など、こういった症例の、治療やリハビリの経過を交えて報告するものが、症例発表です。

まだ経験が浅いうちは、症例発表から始める場合が多いです。

慣れてきたら、2群間の比較や、因子検討など、研究発表に進めていけると良いです。

因子検討とは「入院期間が延長した原因」とか「在宅復帰できなった要因」など、どこに因子があるのかを調べる検討方法です。

なので、普段から、難渋症例や珍しい疾患の症例を経験したら、しっかりと記録を残しておくようにしましょう。

手順2.文献や論文を調べる

学会発表に向けた手順の2つ目は「文献や論文を調べる」ことです。

仮に症例発表をするとしましょう。

日頃から、分からない事や治療・リハビリの事は調べる人が多いと思います。

調べたり文献を読んで、新たな知見を得て、また治療に取り組みますよね。

しかし、自分の症例が、文献や論文と全く同じ経過を辿ったり、全てが上手くいったりする訳ではありません。

そうして、自分の中で新たな発見があったり、文献で言われている事と違った結果が出ます。

それが症例発表に繋がるのです。

そこからまた文献を探し、どうしてそういう違った結果が出たのか(もしくは上手くいったのか)を、考察して結び付けていきます。

手順3.上司と倫理委員会に承認を得る

研究発表か症例発表かが決まり、文献を調べたら、次は「上司と倫理委員会に承認を得る」必要があります。

自分の担当だった症例のデータであればいいですが、研究発表であれば、自分が担当していなかった症例のカルテも閲覧する必要があります。

そのため、上司と倫理委員会に報告し、承認を得なければいけません。

倫理委員会が存在しない職場であれば、上司や医師の承認を得れば良いでしょう。

手順4.カルテからデータを収集する

上司や倫理委員会から承認が得られたら、次は「データを収集する」ことです。

文献や論文で示されていたデータを、自分の発表のためにも揃えて、見比べましょう。

もし、研究発表であれば、必要なデータは膨大なものになります。

症例数(n数)が多くないと、研究はうまくいきません。

また、年齢やBMI、筋力、バランス能力、ADL(FIMの点数)など、本当に沢山のものをA群とB群とで比較しないと、違いは出てきません。

まあ、違いが出なくても、「違いは出ませんでした」という報告をすれば良いのですが。

手順5.抄録を作成する

いよいよ「抄録を作成する」までに至りました。

抄録とは、自分が発表したい内容の「要約」です。

抄録を学会側に提出することで、「こういう発表をしたいのですが、よろしいでしょうか」という申請をすることになります。

学会側が、その抄録を査読(さどく)し、相応しいかどうか審査してくれます。

見事合格がもらえたら、学会発表ができることになります。

抄録の文字数などは、学会(学術集会)によりけりです。

だいたい、500文字以内とか800文字以内ということが多いです。

手順6.発表のスライドまたはポスターを作成する

抄録が見事合格したら、いよいよ「発表のスライド、またはポスターを作成する」段階になります。

学術集会の決められたルールに則って、スライドを作成しましょう。

例えば、「発表は7分で質疑応答が3分です」とか「動画は使用禁止」だったりします。

こうしたルール内で発表ができるように、準備を進めます。

手順7.予演会をする

発表するためのスライドまたはポスターが完成したら、最後は「予演会」をしましょう。

予演会とは、予行演習のことです。

院内や施設内のスタッフに向けて、自分の発表を見てもらいましょう。

実際に喋ってみると、言いたいことが上手く伝わらない事がほとんどです。

理由は、実習学生の発表を聴けば自分は全てを分かって喋っているが、聴いている人は文字と図

本番を迎えるまでに、必ず予演会をしましょう。

補足:学会発表をどこでするか

学会は、県内・地方会・全国と段階があります。

最初は、県内での発表から始める事が多いです。

ただ、別に、絶対県内の学会からスタートしなければいけない訳ではありません。

県内の学会だと、関係性が近いせいか、「自分の庭」みたいに勘違いして、得意分野でマウントを取ってくる人間も居ます。

全国学会だと、知らない人ばかりなので、質問する側もとても丁寧で、お互いを尊重し合って、建設的な意見交換をする場合が多いです。

そのため、学会発表が初めてだったとしても、地方会や全国学会にいきなり挑戦してしまうのもアリです。

リハビリスタッフ学会発表の方法まとめ

  1. 研究発表なのか症例発表なのか決める
  2. 文献や論文を調べる
  3. 上司と倫理委員会に承認を得る
  4. カルテからデータを収集する
  5. 抄録を作成する
  6. 発表のスライドまたはポスターを作成する
  7. 予演会する

リハビリスタッフの学会発表の方法を7つの手順でご紹介しました。

そもそも、リハビリスタッフで学会発表する人は少ないです。

私の職場でも2割弱です。

この記事を読んだ方は、とても向上心の高い方だと思います。

学会発表は、時間も労力もかかるので大変です。

でも、絶対に自分のためにも世の中のためにもなります。

学会発表ナビへようこそ

ただ研究は、誰もが純粋に「楽しい」と感じる可能性のある活動なので、是非1度は経験していただきたいのです。

引用元:神奈川県理学療法士会

ぜひ信念を持って、一緒に頑張っていきましょう。

また学会発表以外にも、資格を取るのもスキルアップになります。

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りはスタ運営者の「ぱぱひさ」と申します。総合病院に勤務する現役の理学療法士です。心臓リハビリテーション指導士・呼吸療法認定士を保有しています。がんリハ研修受講済・臨床実習指導者講習会受講済。OSCE(オスキー:客観的評価能力試験)試験官経験あり。心臓リハ・呼吸リハ・ICUリハの分野で働くリハスタッフのためのサイトとなるよう目指して記事を書いていきます。
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