呼吸リハビリの評価項目10選【一番大事なのは実は呼吸数】
呼吸リハビリってどんな数値やデータを見て、運動負荷を決めればいいの?
そんな疑問をお持ちの方に向けた記事です。
この記事では、
をご紹介します。
結論から言うと、
呼吸リハにおける評価項目10選は以下です。
- 吸数数
- SPO2
- 栄養
- 採血データ
- レントゲン
- 呼吸機能検査
- 歩行速度
- 筋力
- borg指数
- 6分間歩行
ひとつずつ解説していきます。
わたし自身も、最初は悩んでいました。
「呼吸リハ」って何を評価すればいいのか。
ICU(集中治療室)や呼吸リハに携わって10年が経ちました。
勉強してきたことを還元できたらと思います。
呼吸療法認定士も持っています。
リハ職の転職サイトの“求人数”ランキングトップ10 | りはスタ
呼吸リハビリの評価項目10選【一番大事なのは実は呼吸数】
呼吸リハにおける評価項目10選は以下です。
- 吸数数
- SPO2
- 栄養
- 採血データ
- レントゲン
- 呼吸機能検査
- 歩行速度
- 筋力
- borgスケール
- 6分間歩行
実は一番大切なのは「呼吸数」です。
意外ですよね。
私も勉強を重ねるまで知りませんでした。
呼吸リハビリ評価項目①呼吸数
呼吸リハの一番の目安は「呼吸数」です。
生体は呼吸数を増加させることでより酸素を取り込み、SpO2を維持しています。
その代償が効かない程度にまで病態が悪化しSpO2が下がったときには、もう「時、既に遅し」なわけです。
人間は苦しくなると息切れします。
つまり、呼吸(数)で「代償」するのです。
なので、SPO2が下がるよりもまず呼吸数が変化します。
呼吸数が一番の目安になります。
呼吸リハビリ評価項目②SPO2
呼吸リハビリの評価として「SPO2」は、やはり定番です。
SPO2が下がるかどうかは、リハビリの負荷の指標になります。
ただし「苦しく」てもSPO2が下がらないこともあります。
最初の「呼吸数」で言いましたが、呼吸回数を増やして「代償」するからです。
SPO2が下がってないからといって「じゃあ苦しくないんだな」は間違いです。
呼吸リハビリ評価項目③栄養
「栄養」も呼吸リハビリにとって重要です。
栄養がないと、筋肉がつきません。
また、感染症にもかかりやすくなります。
呼吸リハビリには栄養評価は「セット」で考えましょう。
ちなみに、Alb(アルブミン)だけでは栄養の指標にはなりません。
- 体重の推移
- GNRI
- CONUT
を確認するとよいです。
体重推移は「入院時の5%」の変化があったときに、NST(栄養サポートチーム)に相談するか、栄養士さんに相談しましょう。
呼吸リハビリ評価項目④採血データ
採血データも大切です。
病勢(病気の寛解期か増悪期)を知るために。
例えば、
- WBC(白血球)
- CRP
- KL-6
などで、病気の勢いや悪くなっている時なのか良くなってきている時なのかを確認します。
呼吸リハビリ評価項目⑤レントゲン
レントゲンは、
- 前回と今回のレントゲンで見比べる
- 肺の左右で見比べる
ようにします。
写り方としては、
- 「痰」や「胸水」などの「液体」は白く映る
- 「気胸」や「無気肺」などの空気が入っていない所は黒く映る
と覚えておきましょう。
呼吸リハビリ評価項目⑥呼吸機能検査
「肺機能検査」の結果もみておきましょう。
- 「1秒率」が70%以下なら「閉塞性換気障害」
- 「%VC」が80%以下なら「拘束性換気障害」
です。
間違えやすいですが、
- 「1秒率」は、実測の1秒量÷実測の肺活量
- 「%VC」は、実測の肺活量÷予測肺活量
です。
呼吸リハビリ評価項目⑦歩行速度
「歩行速度」も呼吸リハビリの評価項目です。
「速度」が上がれば「負荷」も上がるから。
歩行速度が、速いか遅いかを測るのは大切です。
心リハ担当の理学療法士のアイテム5選【聴診器は持たない】の記事で紹介した通り、ストップウォッチは必須アイテムです。
呼吸リハビリ評価項目⑧筋力
「筋力」も呼吸リハの評価項目の一つです。
- MMT
- 膝伸展筋力
- 体組成(筋肉量)
を測りましょう。
膝伸展筋力は、歩行やADLに重要です。
膝伸展筋力の測定は、アニマ社の「μ-Tas(ミュータス)」で測っている文献や発表が多いです。
ハンドヘルドダイナモメーター(HHD)のスタンダード (anima.jp)
体組成(筋肉量)の評価も大切です。
体組成はOMRON(オムロン)が安くて良いかと。
膝伸展筋力は、歩行やADLに重要です。
posted with カエレバ
※体組成の測定は「バイオインピーダンス法」といって「微弱な電気を通して測定するもの」の場合、ペースメーカーを使用中の方は禁忌なので、ご注意ください。
呼吸リハビリ評価項目⑨borgスケール
「borg(ボルグ)スケール」も呼吸リハには必要です。
borgスケールは、活動する前と後で測ります。
borgスケールが、11-13(修正borgスケールであれば3-4)あたりは、AT(※)と同等である場合が多いです。
そのため、運動後のborgスケールが「11-13(中くらい~ややきつい)」くらいの強度が、トレーニングには丁度よいです。
もし過負荷が心配な場合は、borgスケールが11よりも下になるような、歩行距離または歩行速度に調整すると良いです。
呼吸リハビリ評価項目⑩6分間歩行
「6分間歩行」も呼吸リハで必要です。
現在の体力や酸素必要量が分かります。
まとめ
呼吸リハビリの評価項目10選は以下です。
- 吸数数
- SPO2
- 栄養
- 採血データ
- レントゲン
- 呼吸機能検査
- 歩行速度
- 筋力
- borgスケール
- 6分間歩行
SPO2や採血データよりも、まずは運動前後の「呼吸数(呼吸回数)」を測りましょう。
「呼吸数が一番わかりやすい指標である」ということを覚えておいてください。
【2023年最新】リハ職の転職サイトの“求人数”ランキングトップ10【オススメも4つ紹介】|りはスタ