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ANCA(アンカ)関連血管炎ってどんな病気?ANCA(アンカ)関連血管炎に対するリハビリで気をつけることはある?
そんな疑問をお持ちの方に向けた記事です。
この記事を読めば、
- ANCA(アンカ)関連血管炎の「原因」「症状」「治療」について
- ANCA(アンカ)関連血管炎に対するリハビリと注意点について
が分かります。
※この記事は医療従事者向け(特にリハビリスタッフ向け)に書いた記事ですので、ご了承ください。
ANCA(アンカ)関連血管炎とは
ANCA関連血管炎(ANCA-associated vasculitis)は、抗好中球細胞質抗体(ANCA)が関与する血管炎の一種です。
血管に炎症が起こり、主に全身の細い動脈や静脈、毛細血管が傷つけられることで、さまざまな臓器や器官に障害を引き起こします。
ANCA関連血管炎には、以下の3つのタイプがあります。
- 顕微鏡的多発血管炎(MPA):腎臓や肺の毛細血管に炎症が多発し、急激に腎臓の働きが悪くなることがあります。
- 多発血管炎性肉芽腫症(GPA):耳や眼、鼻などの上気道に肉芽腫や血管炎が起こり、進行すると肺や腎臓にも影響を及ぼします。
- 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA):好酸球の異常増加が見られ、喘息やアレルギー性鼻炎を伴うことが多いです。
ANCA(アンカ)関連血管炎の原因
ANCA関連血管炎の原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。
- 免疫システムの異常:ANCA関連血管炎は自己免疫疾患の一種であり、免疫システムが自分の体の組織を攻撃してしまうことが原因とされています。特に、好中球に対する自己抗体であるANCAの産生が、血管壁の炎症を引き起こす直接的な原因となっています。
- 遺伝的要因:特定の遺伝子を持っている人は、ANCA関連血管炎を発症するリスクが高くなることがあります。例えば、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子が関与していることが示唆されています。
- 環境要因:結晶性シリカへの曝露や特定の薬剤の使用が、ANCA関連血管炎のリスクを高めると考えられています。
- 感染症:特定の細菌感染症、特に黄色ブドウ球菌の鼻腔内保菌が、ANCA関連血管炎の再発リスクを高める可能性があります。
ANCA(アンカ)関連血管炎の症状
ANCA関連血管炎の症状は多岐にわたり、全身や特定の臓器に影響を及ぼします。
全身症状
- 発熱:微熱から高熱まで様々です。
- 倦怠感:全身のだるさや疲労感が続きます。
- 体重減少:原因不明の体重減少が見られることがあります。
臓器別の症状
- 皮膚:下肢に赤色~紫色の斑点(紫斑)が現れることがあります。また、手足に網目状の模様が見られることもあります。
- 耳:難聴や耳の奥の痛みが生じることがあります。
- 鼻:鼻づまりや黄色い鼻水、鼻血が出ることがあります。
- 目:視力低下や眼の充血、眼球突出が見られることがあります。
- のど:のどの痛みや声のかすれが生じることがあります。
- 肺:息切れや空咳、痰や咳に血が混じることがあります。
- 消化器:腹痛や便に血が混じることがあります。
- 腎臓:血尿や蛋白尿が見られることがあります。初期段階では尿の見た目に変化はありませんが、尿検査で発見されます。
- 神経:手足のしびれや痛み、力が入りにくくなることがあります。
疾患ごとの特徴
- 顕微鏡的多発血管炎(MPA):腎臓、肺、神経の症状が現れやすいです。
- 多発血管炎性肉芽腫症(GPA):目、鼻、耳、のど、肺、腎臓に症状が現れることが多いです。鼻の変形(鞍鼻)が見られることがあります。
- 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA):気管支喘息や難治性の鼻炎・副鼻腔炎を伴い、神経、皮膚、消化器、心臓、肺に症状が現れやすいです。
ANCA(アンカ)関連血管炎の治療
ANCA関連血管炎の治療は、主に免疫機能を抑える薬物療法が中心です。
治療の目標は、血管の炎症を抑え、症状を寛解(かんかい)させ、その状態を維持することです。
寛解導入療法
- ステロイド薬:免疫機能を抑える作用や炎症を抑える作用があります。副作用としては、感染症、糖尿病、骨粗しょう症などがあります。
- 免疫抑制薬:ステロイド薬と併用されることが多く、免疫機能を抑える作用があります。副作用としては、感染症などがあります。
- 生物学的製剤:リツキシマブなどが使用され、特定の免疫細胞を標的にして炎症を抑えます。
- 選択的C5a受容体拮抗薬:顕微鏡的多発血管炎や多発血管炎性肉芽腫症の治療に用いられる飲み薬です。
- 静注用ヒト免疫グロブリン製剤:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症で、神経障害が改善されない場合に使用されます。
ANCA(アンカ)関連血管炎に対するリハビリと注意点
ANCA関連血管炎に対するリハビリテーションについてご紹介します。
リハビリの方法
- 呼吸リハビリテーション:肺に影響がある場合、呼吸機能を改善するためのリハビリが行われます。深呼吸や呼吸筋の強化を目的としたエクササイズが含まれます。
- 筋力トレーニング:筋力低下を防ぐために、軽い筋力トレーニングが行われます。特に下肢の筋力維持が重要です。
- 関節可動域訓練:関節の動きを維持するための訓練が行われます。特に痛みやしびれがある場合は、無理のない範囲で行います。
- セルフ感覚入力:自分で足部をさするなどの軽い感覚入力を行い、しびれに慣れることを目指します。
- 温熱療法:ホットパックなどで温めることで、症状が緩和される場合があります。
注意点
- 無理をしない:リハビリは無理をせず、痛みやしびれが増す場合は中止します。
- 感染予防:免疫抑制薬を使用している場合、感染症にかかりやすくなるため、手洗いやマスク着用などの感染予防対策を徹底します。
ステロイドなどを使用するので、感染症にかからないように、リハビリスタッフ側が手指消毒の徹底などが必要です。
また、痛みがある場合には、無理にリハビリしなくてもよいと私は考えます。
ANCA(アンカ)関連血管炎のまとめ
- ANCA関連血管炎の概要:ANCA関連血管炎は、抗好中球細胞質抗体(ANCA)が関与する血管炎で、全身の細い動脈や静脈、毛細血管に炎症を引き起こし、さまざまな臓器や器官に障害をもたらします。
- 症状と原因:症状は発熱、倦怠感、体重減少、皮膚の斑点、難聴、鼻づまり、視力低下、息切れ、腹痛、血尿、しびれなど多岐にわたり、原因は免疫システムの異常、遺伝的要因、環境要因、感染症などが考えられます。
- 治療とリハビリ:治療はステロイド薬や免疫抑制薬が使われる。リハビリは呼吸リハや筋トレ、関節可動域訓練などを、感染に注意しながら実施する。
ABOUT ME
りはスタ運営者の「ぱぱひさ」と申します。総合病院に勤務する現役の理学療法士です。心臓リハビリテーション指導士・呼吸療法認定士を保有しています。がんリハ研修受講済・臨床実習指導者講習会受講済。OSCE(オスキー:客観的評価能力試験)試験官経験あり。心臓リハ・呼吸リハ・ICUリハの分野で働くリハスタッフのためのサイトとなるよう目指して記事を書いていきます。