患者さん向け|心不全ってどんな病気?【医療者が分かりやすく解説】

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「心不全ってどんな病気?」
「看護師さんから“心不全”って言われたけど、どういう状態?」
「先生から説明を受けたけど、正直よく分からなかった」

そんな方に向けた記事です。

この記事を読めば、

「心不全とはどんな病気なのか」

を理解することができます。

ちなみに私は、理学療法士として総合病院に13年勤めています。

患者さんやご家族からも、こういった質問をよくいただくので、この記事を書くことにしました。

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心不全とはどんな病気なの?

心不全とは、「心臓の不全」というのですから、心臓の病気なのですが…

心不全とは、本当は「病気の名前(病名)」ではありません。

心不全とは、「心臓のポンプ機能がうまく働くなった」ことで「息切れ」や「倦怠感」が出現する状態を総称して言います。

「心不全」とは「なんらかの心臓機能障害,すなわち,心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果,呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し,それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」と定義される.

引用元:急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)

つまり、“心臓のポンプする力が弱った状態(病態)”をまとめて「心不全」というのです。

心臓のポンプ機能が働かなくなった状態とは?

心臓は、ご存知の通り、血液を送り出す「ポンプ」の役割をしている臓器です。

そのポンプが、なんらかの原因でうまく機能しなくなった状態を「心不全」といいます。

ポンプがうまく働かないと、体の中の血液がうまく循環しません。

そうすると、血液に混じって送られる「酸素」や「栄養」が、細胞たちに届かなくなります。

その結果、息切れや怠さに繋がるということになります。

どうして心臓のポンプ機能が働かなくなるの?

心臓のポンプ機能が働かない原因はいくつかありますが、簡単な所で3つご紹介します。

  1. 心臓に栄養を送る血管が目詰まりを起こしたから
  2. 心臓の中にある逆流防止の弁が悪くなったから
  3. 心臓の動きが不規則だから

1の状態は「狭心症」とか「心筋梗塞」です。
2の状態は「弁膜症」。
3の状態は「不整脈」です。

当然、この3つ以外の原因で心不全になる場合もあります。

ただ、少しややこしくなるので、この3つに絞りました。

心臓に栄養を送る血管が目詰まりを起こすとは?

心臓を動かしているのは筋肉です。

なので、心臓の筋肉自体も、当然、酸素(栄養)をもらって動いています。

その酸素を送っているのが「冠動脈(かんどうみゃく)」と呼ばれる血管たちです。

この、心臓に酸素を与えている冠動脈という血管が、目詰まりを起こすと、心臓の筋肉に酸素が行かなくなるので、心臓の動きが悪くなります。

狭心症(きょうしんしょう)とか心筋梗塞(しんきんこうそく)が、この部類です。

  • 狭心症(きょうしんしょう):心臓に栄養を与えている血管が“詰まりかけている”状態
  • 心筋梗塞(しんきんこうそく):心臓に栄養を与えている血管が“詰まってしまった”状態

心臓の筋肉に酸素を与えている血管が目詰まりを起こす

筋肉が動かなくなる(動きが悪くなる)

心臓のポンプ機能が働くなる(心不全)

という流れです。

心臓の中にある逆流防止の弁が悪くなるとは?

ご存知かもしれませんが、心臓は、4つの部屋に分かれた構造をしています。

  1. 全身からの血液が戻って来る部屋(右心房)
  2. 肺に血液を送る部屋(右心室)
  3. 肺から血液が戻って来る部屋(左心房)
  4. 全身に血液を送り出す部屋(左心室)

この4つの部屋はを血液が通るのですが、ちゃんと順番があります。

全身→右心房右心室→肺→左心房左心室→全身

体を巡って戻った血液は、肺を通って、酸素を蓄えて、そしてまた全身に流れます。

なので、順番通りに流れないと、うまく血液が流れない事になります。

そこで一役買っているのが、「逆流防止の弁」です。

各部屋の出入り口に「弁」が付いている事で、逆流が起きにくくなるのです。

この弁に不具合が生じた状態を「弁膜症」といいます。

弁膜症は大きく2つに分けられます。

  1. 弁が硬くなって開きにくくなった状態→狭窄症
  2. 弁の締まりが悪くなって逆流する状態→閉鎖不全症

「狭窄症」や「閉鎖不全症」になり、血液の流れがスムーズにいかなくなることで、心臓のポンプ力が低下した「心不全」という状態(病態)になる、ということです。

心臓の動きが不規則とは?

3つ目の、心臓の動きが不規則になった状態は総称して「不整脈」と呼ばれます。

心臓は、心臓の上側(心房)と下側(心室)が、交互に動くことで、上手に血液が送り出されます。

しかし、不整脈によって、心臓が不規則に動いてしまうと、血液の流れがうまくいきません。

つまり、不整脈によって、心臓のポンプ力が低下し、「心不全」の状態(病態)になる、ということです。

心不全とはどんな状態?のまとめ

  • 心不全とは「心臓のポンプ機能が悪くなり、息切れや怠さが出る」状態の総称
  • ポンプ機能が働かないと、血液の流れが悪くなり、細胞に酸素や栄養が行かなくなる
  • 心臓のポンプ機能が働かなくなる主な原因は「心筋梗塞や心筋症」「弁膜症」「不整脈」の3つ(それ以外もあります)

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りはスタ運営者:ぱぱひさ
りはスタ運営者の「ぱぱひさ」と申します。総合病院に勤務する現役の理学療法士です。心臓リハビリテーション指導士・呼吸療法認定士を保有しています。がんリハ研修受講済・臨床実習指導者講習会受講済。OSCE(オスキー:客観的評価能力試験)試験官経験あり。心臓リハ・呼吸リハ・ICUリハの分野で働くリハスタッフのためのサイトとなるよう目指して記事を書いていきます。
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