「ツライ」「疲れた」と感じる理学療法士へ【その理由と乗り越え方】

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「理学療法士の仕事、正直ツライ…」「もう疲れた…」

毎日、目の前の患者さんのために懸命にリハビリテーションを提供している中で、ふとそんなネガティブな感情に襲われることはありませんか? 高い志を持ってこの道を選んだはずなのに、いつの間にか心身ともに疲弊しきってしまう。この記事は、そんな風に悩み、立ち止まってしまっている理学療法士のあなたに向けて書いています。

なぜ私たちは「ツライ」「疲れた」と感じてしまうのでしょうか。その原因は一つではなく、日々の業務の中に複雑に絡み合っています。

まずはその構造を理解し、少しでも心が軽くなるためのヒントや具体的な対処法を探っていきましょう。

そして、改めて理学療法士としての「やりがい」を見つめ直すきっかけを提供できれば幸いです。

なぜ理学療法士は「ツライ」「疲れた」と感じやすいのか?

理学療法士が抱える「ツラさ」や「疲れ」は、決して個人的な弱さからくるものではありません。

この仕事特有の構造的な要因が、私たちの心と身体に影響を与えています。

身体的な負担が大きい:見えないところで消耗する体力

理学療法士の業務は、デスクワーク中心の仕事とは異なり、常に身体を動かし続けることが求められます。その負担は、想像以上に大きいものです。

  • 移乗・移動介助:腰痛との闘い
    体重のある患者さんをベッドから車椅子へ、あるいはトイレへと移乗させる動作は、日常的に行われます。安全を確保しながら、時には自分の体重以上の負荷がかかることもあり、腰への負担は計り知れません。ぎっくり腰を経験したり、慢性的な腰痛に悩まされたりしている理学療法士は非常に多いのではないでしょうか。また、歩行訓練のサポートでは、患者さんの転倒を防ぐために常に神経を張り巡らせ、不意な動きにも対応できる筋力と瞬発力が求められます。こうした介助は、一日を通して何度も繰り返され、着実に体力を奪っていきます。
  • 長時間の立ち仕事・中腰姿勢:足腰への蓄積ダメージ
    リハビリテーションの多くは立って行われ、患者さんの状態に合わせて低い姿勢をとったり、中腰になったりする場面も頻繁にあります。一日中立ちっぱなしで足がパンパンにむくんだり、膝や股関節に痛みを感じたりすることも少なくありません。特に忙しい現場では、十分な休憩を取る間もなく次の患者さんの対応に追われ、身体を休める暇がないという状況も生まれがちです。こうした日々の積み重ねが、慢性的な疲労感につながっていきます。
  • 体力勝負の場面も:全力を求められる瞬間
    例えば、麻痺のある方の起き上がりをサポートしたり、体力低下が著しい方の持久力トレーニングを行ったりする際には、文字通り体力勝負となる場面もあります。患者さんの「できるようになりたい」という思いに応えるため、こちらも全力でサポートしますが、その分、エネルギーの消耗も激しくなります。

これらの身体的な負担は、目に見えにくい部分で確実に蓄積し、「もう動けない」「疲れた」という感覚を引き起こす大きな要因となっています。

精神的な負担・ストレス:見えないプレッシャーとの闘い

身体的な疲労だけでなく、精神的な負担が大きいことも、理学療法士の仕事の「ツラさ」につながっています。私たちは日々、様々なプレッシャーや感情的な負荷にさらされています。

  • 患者さんやご家族とのコミュニケーション:期待と現実の狭間で
    患者さんやご家族は、リハビリテーションに対して大きな期待を寄せています。その期待に応えたいという強い思いがある一方で、回復のペースは人それぞれであり、必ずしも期待通りに進むとは限りません。「もっと早く良くならないのか」「本当に効果があるのか」といった言葉に心を痛めたり、時には厳しいクレームを受け止めなければならなかったりすることもあります。また、患者さんの意欲を引き出し、前向きな気持ちでリハビリに取り組んでもらうための声かけや、ご家族への状況説明など、円滑なコミュニケーションを図るための精神的なエネルギーも必要です。
  • 共感疲労:他者の痛みに寄り添うことの代償
    患者さんの痛みや苦しみ、不安な気持ちに深く寄り添い、共感することは、信頼関係を築き、効果的なリハビリテーションを行う上で非常に重要です。しかし、あまりにも強く共感しすぎると、まるで自分のことのように相手の感情を背負い込んでしまい、精神的に疲弊してしまう「共感疲労」に陥ることがあります。患者さんのネガティブな感情に引きずられ、仕事が終わっても気持ちが切り替えられず、プライベートにまで影響が出てしまうケースも少なくありません。感情の境界線を保ちながら、適切な距離感で患者さんと関わることの難しさを感じる場面もあるでしょう。
  • 責任の重さ:一つ一つの判断が未来を左右する
    私たちの行うリハビリテーションやアドバイスは、患者さんの身体機能の回復だけでなく、退院後の生活や、時には人生そのものに影響を与える可能性があります。ADL(日常生活動作)の自立度、社会復帰の可能性など、その方の未来に関わる重要な判断を迫られる場面も少なくありません。「自分の判断は正しかったのか」「もっと良い方法があったのではないか」といった自問自答を繰り返し、常に大きな責任感を背負っていることが、精神的なプレッシャーとなります。
  • 「治せない」ことへの無力感:理想と現実のギャップ
    理学療法士は「治す」専門家であるというイメージを持たれがちですが、残念ながら、全ての患者さんが完全に回復するわけではありません。疾患の進行や重度の後遺症など、様々な要因で改善が難しいケースも存在します。どんなに知識や技術を尽くしても、思うような結果が得られない時、「自分は無力だ」「理学療法士として役に立てていないのではないか」といった無力感や自己肯定感の低下を感じてしまうことがあります。理想と現実のギャップに苦しむことも、精神的な負担の一因です。

業務量の多さと複雑さ:リハビリ以外の「見えない仕事」

理学療法士の仕事は、患者さんと直接向き合うリハビリテーションだけではありません。その裏側には、多くの付随業務が存在し、私たちの時間を圧迫しています。

  • 書類作成業務:記録との終わらない闘い
    リハビリテーション計画書の作成、日々の実施記録、経過報告書、カンファレンス用のサマリー、各種保険請求に必要な書類など、作成・管理すべき書類は膨大な量にのぼります。近年、電子カルテ化が進んでいるとはいえ、依然として手書きの書類が必要な場面や、システム入力に時間がかかるケースも少なくありません。本来であれば、患者さんの評価やリハビリ内容の検討にもっと時間をかけたいのに、勤務時間の大半がデスクワークに費やされてしまう、といったジレンマを抱える理学療法士は多いでしょう。リハビリテーションの合間や、時には時間外にこれらの書類業務を行わざるを得ない状況も、疲労感を増大させます。
  • カンファレンスや他職種連携:調整と情報共有の難しさ
    質の高い医療・ケアを提供するためには、医師、看護師、作業療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカーなど、多くの専門職との連携が不可欠です。定期的なカンファレンス(症例検討会)への参加や、日常的な情報共有、意見交換は非常に重要ですが、それぞれの専門職が持つ視点や考え方の違いから、意見調整に時間やエネルギーを要することもあります。また、会議や打ち合わせの多さが、本来のリハビリ業務や書類作成の時間を圧迫し、結果的に業務全体の負担増につながることも少なくありません。
  • 学習・研修の必要性:終わりなき自己研鑽
    医療の世界は日進月歩であり、理学療法の分野も例外ではありません。新しい治療法やエビデンスに基づいたアプローチが次々と登場するため、常に最新の知識や技術を学び続ける必要があります。院内での勉強会や、外部の研修会、学会への参加はスキルアップのために不可欠ですが、多くの場合、業務時間外や休日に行われます。向上心を持って取り組む一方で、プライベートな時間が削られてしまい、「休む暇がない」と感じてしまう原因にもなり得ます。

人間関係の悩み:チームで働くことの難しさ

患者さん中心のチーム医療は理想ですが、現実には職場内での人間関係がストレスの原因となることもあります。

  • 上司・同僚との関係:価値観のズレやコミュニケーション不足
    リハビリテーションの方針や業務の進め方について、上司や同僚と意見が合わなかったり、価値観の違いを感じたりすることがあります。また、忙しい業務の中でのコミュニケーション不足が、誤解や孤立感を生むことも。風通しの悪い職場環境では、相談しにくい雰囲気があったり、一部の人に業務負担が偏ったりすることもあり、精神的な負担につながります。
  • 他職種との連携における摩擦:専門性の壁
    それぞれの専門職が持つ知識や経験、役割に対する考え方の違いから、連携がスムーズに進まない場面もあります。例えば、リハビリテーションの必要性や目標設定について、医師や看護師と意見が食い違い、調整に苦労することもあるかもしれません。お互いの専門性を尊重しつつ、建設的な議論を行うためには、高いコミュニケーション能力と忍耐力が求められます。

給与・待遇面での不満:見合わないと感じる対価

これまでに挙げたような身体的・精神的な負担、業務の複雑さ、求められる専門性や責任の重さに対して、給与や待遇が見合っていないと感じることも、「ツライ」「疲れた」という感情を引き起こす要因の一つです。特に、経験年数が浅いうちは、覚えることや任される業務が多いにも関わらず、給与水準が低いと感じやすいかもしれません。昇給のペースが緩やかであったり、残業代が適切に支払われなかったりする職場環境であれば、なおさら不満は募りやすくなります。モチベーションの維持にも関わる重要な問題です。

「ツライ」「疲れた」と感じた時の具体的な対処法:自分を救うためのアクション

限界を感じてしまう前に、そして「もう辞めたい」という気持ちが強くなる前に、早めに対処することが何よりも大切です。ここでは、心身の負担を軽減し、状況を改善するための具体的な方法をいくつかご紹介します。

まずは休息を。心と身体を意識的に労わる

「疲れた」と感じているなら、そのサインを見逃さず、まずは休息を取ることを最優先に考えましょう。単に睡眠時間を確保するだけでなく、「質の高い休息」を意識することが重要です。

  • 質の高い睡眠で脳と身体を回復させる
    睡眠は、心身の疲労回復に不可欠です。毎日決まった時間に寝起きする、寝る前のカフェインやアルコール摂取を控える、スマートフォンやパソコンの画面を見るのを寝る1時間前にはやめる、寝室の環境(温度、湿度、光、音)を整える、自分に合った寝具(枕やマットレス)を見直すなど、睡眠の質を高めるための工夫を取り入れてみましょう。短時間でも質の高い睡眠がとれれば、翌日のパフォーマンスや気分の安定につながります。
  • 意識的な休息でオンとオフを切り替える
    忙しい業務の中でも、休憩時間は意識的に仕事から離れることが大切です。たとえ短い時間でも、デスクから離れてストレッチをする、外の空気を吸う、好きな飲み物をゆっくり飲む、目を閉じて深呼吸するなど、気分転換を図りましょう。ランチタイムは、同僚と仕事以外の話をする、一人で静かに過ごすなど、自分が最もリラックスできる方法で過ごすのがおすすめです。「休むことも仕事のうち」と捉え、罪悪感なく休息をとるように心がけましょう。
  • 有給休暇を活用してリフレッシュする
    疲れが溜まっている、気分が落ち込んでいると感じたら、思い切って有給休暇を取得しましょう。数日間まとまった休みを取ることで、心身ともにリフレッシュできます。旅行に出かけて非日常を味わう、溜まっていた家事を片付ける、一日中好きな趣味に没頭する、温泉でゆっくりするなど、自分が心から「休まった」と感じられる過ごし方を見つけましょう。定期的に休暇を取得する計画を立てるのも良いかもしれません。

一人で抱え込まず、誰かに相談する:言葉にすることで軽くなる心

悩みやストレスを一人で抱え込んでいると、ネガティブな思考がループしてしまい、ますます状況が悪化してしまうことがあります。信頼できる人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちが整理されたり、客観的なアドバイスがもらえたりして、心が軽くなることがあります。

  • 同僚や先輩:共感と具体的なアドバイスを求めて
    同じ職場で働く仲間、特に経験のある先輩は、あなたが抱えている悩みや職場の状況を具体的に理解してくれる可能性が高い存在です。「私も同じような経験をしたよ」「こんな風に乗り越えたよ」といった共感の言葉や、具体的な業務改善のヒント、人間関係のアドバイスなどがもらえるかもしれません。日頃からコミュニケーションを取り、相談しやすい関係性を築いておくことが大切です。
  • 上司:具体的な問題解決に向けて
    業務量の多さや特定の業務に対する負担感、職場環境に関する問題など、具体的な改善を求める場合は、直属の上司に相談することが有効です。感情的に訴えるだけでなく、「どの業務にどれくらいの時間がかかっているか」「どのような点に困難を感じているか」「どのような改善を望むか」などを具体的に、そして冷静に伝えることで、真剣に受け止めてもらいやすくなります。すぐに解決策が見つからなくても、問題を共有することで、何らかの配慮や調整につながる可能性があります。
  • 家族や友人:仕事から離れた視点を得る
    仕事内容を詳しく理解していなくても、あなたのことを親身になって考えてくれる家族や友人に話を聞いてもらうことは、精神的な支えになります。ただ話を聞いて共感してもらうだけでも、溜まっていた感情が解放され、気分が楽になることがあります。また、仕事とは全く関係のない視点からの意見やアドバイスが、思わぬ気づきや気分転換のきっかけになることもあります。
  • 専門家(カウンセラーなど):客観的なサポートを求める
    職場の人には話しにくい深刻な悩み(ハラスメント、メンタルの不調など)を抱えている場合や、相談しても解決の糸口が見えない場合は、専門家の力を借りることも検討しましょう。企業によっては従業員支援プログラム(EAP)などでカウンセリングを受けられる制度がある場合もありますし、地域の相談窓口や医療機関の精神科・心療内科などもあります。専門家は守秘義務を守り、客観的な立場からあなたの話を丁寧に聞き、問題解決に向けたサポートや具体的な対処法を一緒に考えてくれます。

自分なりのストレス解消法を見つける:心のエネルギーチャージ

仕事で感じるストレスをゼロにすることは難しいかもしれませんが、上手に解消する方法を知っていれば、心の健康を保ちやすくなります。自分に合ったストレス解消法を見つけ、日常生活の中に意識的に取り入れる習慣をつけましょう。

  • 趣味に没頭する:仕事モードからの完全な解放
    仕事のことや悩みを完全に忘れられる時間を持つことは、非常に効果的なストレス解消法です。スポーツで汗を流す、好きな音楽を聴いたり演奏したりする、没頭できる読書や映画鑑賞、美味しいものを作る・食べる、ガーデニング、旅行、手芸など、あなたが「楽しい」「心地よい」と感じられることであれば何でも構いません。定期的に趣味の時間を確保することで、心のエネルギーをチャージしましょう。
  • 軽い運動で心身をリフレッシュ
    ウォーキング、ジョギング、サイクリング、ヨガ、水泳など、軽い有酸素運動は、気分転換になるだけでなく、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制し、幸福感をもたらすセロトニンの分泌を促す効果があると言われています。激しい運動である必要はありません。近所を散歩するだけでも、気分がすっきりすることがあります。無理のない範囲で、継続できる運動習慣を取り入れてみましょう。
  • リラクゼーションで緊張をほぐす
    心身の緊張を解きほぐす時間も大切です。ぬるめのお湯にゆっくり浸かる(好きな香りの入浴剤を使うのもおすすめ)、アロマテラピーでリラックス効果のある香りを楽しむ、心地よい音楽を聴く、マッサージや整体を受ける、瞑想や深呼吸を行うなど、自分がリラックスできる方法を見つけましょう。意識的に副交感神経を優位にし、心と身体を休ませる時間を作ることで、ストレスへの耐性が高まります。

スキルアップや知識の習得で自信をつける:不安を力に変える

日々の業務の中で、「自分の知識や技術は十分だろうか」「もっと効果的なアプローチがあるのではないか」といった不安を感じることが、ストレスや「ツラさ」の一因になっている場合もあります。積極的に学び続ける姿勢は、こうした不安を軽減し、仕事への自信とやりがいにつながります。

  • 研修会や勉強会への参加:新たな視点と知識を得る
    外部の研修会や学会、院内の勉強会などに参加することで、最新の知見や技術に触れることができます。新しい知識を得ることで、これまで行き詰まりを感じていたケースに対して新たなアプローチが見つかったり、他の理学療法士との交流を通じて刺激を受けたりすることもあります。学び続けることで、自身の専門性が高まっていることを実感できれば、仕事に対するモチベーションも向上するでしょう。
  • 資格取得:専門性を深め、キャリアの可能性を広げる
    認定理学療法士や専門理学療法士といった専門性を証明する資格の取得を目指すことは、明確な目標設定となり、学習意欲を高めるきっかけになります。資格取得に向けた勉強を通して、特定の分野に関する知識や技術を体系的に深めることができます。資格を取得することで、自身の専門性が客観的に認められ、仕事に対する自信につながるだけでなく、キャリアアップや転職の際にも有利に働く可能性があります。

働き方や環境を見直す:自分に合った場所を探す勇気

様々な対処法を試しても、どうしても今の職場環境や働き方が自分に合わない、限界だと感じる場合は、環境そのものを変えることも重要な選択肢の一つです。我慢し続けることが必ずしも良い結果を生むとは限りません。

  • 業務内容の調整を相談する:負担の軽減を求める
    まずは、現在の上司に、業務負担の軽減について相談してみましょう。例えば、「特定の疾患の患者さんを担当する割合を減らしてほしい」「書類作成の時間を確保するために、午後のリハビリ枠を調整してほしい」「チーム内で業務分担を見直してほしい」など、具体的な要望を伝えることが大切です。組織の状況によっては難しい場合もありますが、伝えることで何らかの改善策が検討される可能性があります。
  • 異動を希望する:環境を変えて再スタート
    もし、所属しているのが複数の施設や部署を持つ大きな法人であれば、異動を希望するという選択肢もあります。同じ法人内であっても、病院からクリニックへ、急性期病棟から回復期病棟へ、あるいは訪問リハビリ部門へなど、部署や施設が変わるだけで、業務内容、働き方、人間関係は大きく変化します。現在の環境が合わないと感じる場合、異動によって新たな気持ちで再スタートできる可能性があります。
  • 転職を検討する:新たな可能性を求めて
    様々な努力をしても状況が改善せず、心身の限界を感じているのであれば、転職も現実的な選択肢として考えましょう。理学療法士が活躍できる場は、病院やクリニックだけでなく、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、デイケア、訪問リハビリテーションステーション、障がい者支援施設、スポーツ分野(プロチームやフィットネスクラブ)、企業(健康経営サポートなど)、教育・研究機関など、非常に多岐にわたります。給与、勤務時間、休日、業務内容、職場の雰囲気、キャリアパスなど、自分が何を重視するのかを明確にし、より自分に合った働き方ができる環境を探すことは、決して逃げではありません。新たな場所で、理学療法士としての価値を再発見できるかもしれません。

それでも、理学療法士という仕事の「やりがい」を忘れないで

「ツライ」「疲れた」という感情に支配されてしまうと、つい忘れがちになりますが、理学療法士という仕事には、他では決して得られない、計り知れないほどの「やりがい」や「魅力」があります。少しだけ立ち止まって、あなたがこの仕事を選んだ理由、そしてこれまでに感じてきた喜びを思い出してみませんか?

  • 患者さんの回復を直接サポートできる喜び:変化を目の当たりにする感動
    昨日まで寝返りも打てなかった方が、自力で起き上がれるようになった瞬間。杖なしでは歩けなかった方が、自分の足で歩けるようになった喜び。痛みに顔を歪めていた方が、笑顔で「楽になったよ」と言ってくれた時。こうした患者さんのポジティブな変化を、一番近くで目の当たりにし、その回復の過程に専門職として深く関われることは、理学療法士ならではの、何物にも代えがたい喜びであり、感動です。
  • 「ありがとう」という感謝の言葉:心に響く、一番の報酬
    リハビリテーションを通して、患者さんやそのご家族から直接いただく「ありがとう」「先生のおかげです」という感謝の言葉。それは、私たちの努力や苦労が報われる瞬間であり、日々の業務を続ける上での大きなモチベーションとなります。その一言が、疲れ切った心に温かい光を灯し、「また頑張ろう」という気持ちにさせてくれる、何よりの報酬と言えるでしょう。
  • 専門職としての知識・技術:人の役に立てるという誇り
    解剖学、生理学、運動学といった基礎医学の知識と、運動療法、物理療法などの専門的な技術を駆使して、目の前の人の身体機能の改善や生活の質の向上に貢献できること。それは、理学療法士という専門職だからこそ得られる大きな誇りです。自身の知識や技術が、誰かの困難を乗り越える手助けになっているという実感は、自己肯定感を高めてくれます。
  • 人の人生に深く関わる経験:寄り添い、支えるという尊さ
    病気や怪我によって、人生の大きな転機を迎えた患者さん。その方が、再び自分らしい生活を取り戻していく過程に、リハビリテーションを通して深く関わることができる。それは、非常に責任が重いことであると同時に、非常に尊い経験でもあります。単に身体機能を回復させるだけでなく、その方の人生に寄り添い、未来への希望を支える一助となれることは、この仕事の大きな意義の一つです。

まとめ:あなたは一人じゃない。無理せず、自分自身を一番大切に。

理学療法士の仕事は、確かにやりがいが大きい一方で、身体的にも精神的にも負担が大きく、「ツライ」「疲れた」と感じてしまうのは、決してあなたがおかしいわけでも、弱いわけでもありません。多くの理学療法士が、あなたと同じように悩み、葛藤しながら、それでも日々、患者さんと向き合っています。

一番大切なのは、その「ツライ」「疲れた」という自分の心と身体のサインに、正直に耳を傾けることです。限界まで我慢する必要はありません。疲れを感じたら意識して休息し、悩んだら信頼できる誰かに話し、必要であれば働き方や環境を変える勇気を持つことも大切です。

そして、もし心が少し疲れてしまったと感じたら、時々で良いので、あなたが理学療法士として経験してきた素晴らしい瞬間や、この仕事ならではの「やりがい」を思い出してみてください。この記事が、あなたが抱える「ツラさ」を少しでも和らげ、自分自身を大切にしながら、あなたらしい働き方を見つけていくための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。

あなたは一人ではありません。どうか無理せず、ご自身のペースで、一歩ずつ進んでいきましょう。

ABOUT ME
りはスタ運営者:ぱぱひさ
りはスタ運営者:ぱぱひさ
りはスタ運営者の「ぱぱひさ」と申します。総合病院に勤務する現役の理学療法士です。心臓リハビリテーション指導士・呼吸療法認定士を保有しています。がんリハ研修受講済・臨床実習指導者講習会受講済。OSCE(オスキー:客観的評価能力試験)試験官経験あり。心臓リハ・呼吸リハ・ICUリハの分野で働くリハスタッフのためのサイトとなるよう目指して記事を書いていきます。
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