ADLが上がりにくい患者さんの特徴3つ【リハビリのコツ3つ】
リハビリしているのに、なかなかADLが上がらないけど、どうしたらいいんだろう。
そう感じている方に向けた記事です。
この記事を読めば、
が分かります。
結論から言うと、ADLが上がりにくい患者さんの特徴は、
- 低栄養
- 炎症状態にある
- 電解質(イオン)バランスが崩れている
の3つです。
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ADLが上がりにくい患者さんの特徴3つ
リハビリしているのにADLが上がりにくい患者さんの特徴は、
- 低栄養
- 炎症状態にある
- 電解質(イオン)バランスが崩れている
の3つです。
低栄養でADLが上がりにくい
「低栄養」の状態だとADLが上がりにくいです。
「栄養が不足していると、筋肉がつかないから」です。
低栄養で筋肉がつかない状態で、いくらリハビリで負荷をかけても、ADLは上がりにくいです。
炎症状態にあってADLが上がりにくい
炎症の数値が高い場合も、ADLが上がりにくいです。
炎症が生じていると、リハビリ自体が進みにくく、筋肉も付きにくい状態にあります。
炎症の数値は採血で確認できます。
- CRP値が高い状態
- WBC(白血球)値が高い状態
- PLT(血小板)値が高い状態
炎症の数値が高いと「倦怠感」に繋がります。
敗血症や熱傷、がん、飢餓などの生体侵襲下ではこの骨格筋の異化、同化、筋新生のバランスが崩れ、骨格筋委縮が誘導される
なので、炎症の数値が高い状態では、リハビリをしてもADLは上がりにくいです。
炎症の数値が高いときは、まずは原疾患(その炎症を起こしている元の病気)を改善する事が大切です。
とはいえ、リハビリも並行して続けていく必要はあります。
電解質(イオン)バランスが崩れていてADLが上がりにくい
電解質(イオン)バランスが崩れているときも、ADLが上がりにくいです。
一見無症状の低ナトリウム血症であっても、注意力の低下や歩行の安定性低下が生じ、転倒の危険性が上昇することも報告されています。
電解質(イオン)バランスが崩れていると、「倦怠感」や「脱力」にも繋がります。
リハビリをしていても、リハビリ以外の時間を臥床して過ごしていては、ADL自体は上がりにくいです。
ADLを上げるためのリハビリのコツ3つ
ADLを上げるためのリハビリのコツは、
- 全身状態を確認する
- 栄養状態を改善させる
- 少量頻回でリハビリする
の3つが大切です。
一つずつ解説していきます。
全身状態を確認しリハビリする
全身状態は、前の項でお伝えした「電解質(イオン)バランス」と「炎症状態(炎症の数値)」あたりです。電解質のバランスが崩れていたり、炎症反応が高まっているときは、筋トレなどのレジスタンストレーニングを行っても、介助量はあまり減らないです。ただ、「歩行練習の開始日」は早い方がADL改善に繋がるデータもあるので、歩く練習は早めから開始した方がいいと、わたしは考えています。
栄養状態を改善させてリハビリする
リハビリに加えて、栄養状態を改善させることで、ADLアップに繋がります。
- BMI(体重÷身長÷身長)をみる
- 体重の推移を確認していく
- 「指輪っか試験」をやってみる
- Alb(アルブミン)値やGNPIを確認する
ただし、Alb(アルブミン)値は、半減期が2週間と長いので、採血データはその採決時の数値を反映していない可能性があります。
GNRIや、体重の推移で栄養状態を総合的に評価した方がよいです。
「指輪っかテスト」は、患者さんの親指と人差し指で輪っかを作り、下腿の最大周径よりも大きいか小さいかをみるテストです。
栄養状態の評価は、栄養士さんがいれば、栄養士さんに相談するのが一番わかりやすくて早いと思います。
NSTなどが居る病院であれば、NSTに相談してみるのもいいです。
主治医を通さずに相談するのも失礼なので、NSTの人にコソッと聞いてみるか、主治医に一旦相談してみましょう。
少量頻回でリハビリする
全身状態がまだ優れない患者さんには「少量頻回」でリハビリするのが良いです。
食事時に座位をとったり、排泄を支援したり。
そういったADLの動作から練習していきましょう。
がっつりと歩行訓練などを行うのは、全身状態が落ち着いてきてからの方が、ADLアップに繋がりやすいです。
まとめ
リハビリしてもADLが上がりにくい患者さんの特徴は、
- 低栄養でADLが上がりにくい
- 炎症の数値が高くてADLが上がりにくい
- 電解質(イオン)バランスが崩れていてADLが上がりにくい
の3つです。
そんな中で、ADLを上げるためのリハビリのコツは、
- 全身状態を確認してリハビリする
- 栄養状態を改善させてリハビリする
- 少量頻回でリハビリする
の3つです。
無理やりADLを上げようとしてもなかなかあがりません。
あとは、ご本人さん・ご家族さんと「目標の共有」をすることも大切だと思います。
リハビリスタッフや医療者側が勝手に「ADLをあげた方がいい」と思い込んでいる場合もあるので、そこは注意が必要です。
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